平成19年度 事業報告

Ⅰ 事業・活動の実施状況

1 調査研究事業

(1)データベース事業

伝承話のデジタル化を進めるに当たり、理事長、副理事長を中心に「沖縄伝承話データベース作成委員会」を設置し、日本学術振興会から平成19年度科学研究費補助金を受けて、事業を開始した。担当作業者20名。八重山諸島、玉城村(現南城市)、具志頭村(現八重瀬町)本部町、粟国村、名護市、北谷町の阿波根昌栄翁の調査テープのデジタル化作業と聴取話に伴うエクセルデータの作成作業を行ない、約4600件のデジタル化とデータの作成を終了した。これらは当センターホームページからリンクする沖縄伝承話データベース作成委員会のホームページで一部公開されている。

(2)語りのワークショップ(6月30日~12月15日)

「伝承話を語り、表現する会員になろう!」ということで会員、一般に呼びかけて、6月30日のプレイベントを皮切りに全10回のワークショップを開催した。22名の受講者でスタートした前期は、自己を見つめることから始め、腹式呼吸などを学んだ。後期は、それぞれに語りたい民話を取り上げ、語りにするための再話に取り組み、グループ、個人で稽古に励み12月15日の発表会に臨んだ。発表会は沖縄国際大学厚生会館4Fホールにおいて午後6時から開催された。「むんがたい」のテーマで18名が発表、約200名の参加で、大盛況であった。

2 地域普及事業

(1)「沖縄 伝承の旅2007」

平成19年11月18日に会員を対象に「沖縄伝承の旅2007」を実施した。39名の参加者で大型バス1台を貸切り、ヤハラヅカサ、受水走水、玉城グスクなど南部の伝説の地にまつわる話などを聞きながら訪ねた。案内役は、副理事の祷、比嘉が務めた。照屋寛信理事長の指導による伝承玩具作りの体験教室もあり好評であった。

(2)読書フェスティバル

平成19年12月23日(土)午前10時開会から午後5時までの日程で、読谷村文化センターを会場に沖縄県読書フェスティバルが開催された。当センターは、これまで発刊された市町村の民話集や再話された絵本、紙芝居などの資料展示を行うと共に、高江洲春子さんらによる民話語りのコーナー、理事長を中心に伝承玩具作り体験コーナーを設け好評であった。

(3)「沖縄 伝承の旅2007」(小澤昔ばなし研究所共催事業)

平成20年1月18日から2泊3日の日程で、沖縄伝承話資料センターと小澤昔ばなし研究所との共催で、「沖縄 伝承の旅2007」を開催した。今回で2回目になるこの旅に、北は北海道から南は鹿児島まで全国各地の昔ばなし大学の受講生40名の参加があった。初日の歓迎会では、沖縄の歌や踊りを紹介。2日目の伝承の地めぐりでは、受水走水、ヤハラヅカサ、玉城グスク、斎場御嶽などをまわった。旅の後の交流会は昔ばなしの語りを中心に盛り上がった。3日目は「ひめゆり平和祈念資料館」を訪ね、平和であることの大切さをあらためて考える日となった。

(4)「民話の部屋」の開催

平成20年3月2日午後2時から午後6時、名護市宇茂佐公民館において開催。第1部『語りを聞く』をテーマに、伝承の話者、山本川恒翁を招いて「千手観音の由来」など5話を語ってもらった。その後、田名洋子「海の神と陸の神」、辺土名朝三「キジムナーとヤックヮナー」、照屋寛信「寿命比べ」の語りを披露した。第2部は、『語りのシンポジウム』をテーマに当センター理事、樋口淳氏(専修大学教授)が「新しい民話の記録と新しい語り」と題して基調講演を行ない、比嘉久から「山本川恒翁の民話とその伝承」、白須巴から「語り手養成講座を実施して」と、それぞれ報告があり、語りについての意見交換がなされた。(参加者55名)

(5)講演会

平成19年5月20日の定期総会終了後、当センター理事の丸山顕徳氏(花園大学教授)が「日本古代神話と沖縄の神話」、比嘉悦子氏(浦添てだこホール館長)が「沖縄のわらべ歌」のテーマで講演を行なった。(出席 約80名)

3 広報活動

(1)会報の『はにんす』の発行

5月20日、10月12日、2月14日 の3回発行

(2)リーフレットの作成

当法人設立の趣旨・活動内容・会の運営などを盛り込んだリーフレットを作成した。

4 活動資金造成事業

活動資金の造成を目的として、民話マップの作成に取り組むと共に、執筆活動(沖縄タイムス「民話物語い」、美ら海水族館「南ぬ風」への掲載話の原稿作成)を行なった。

Ⅱ 総会・理事会・運営委員会の開催状況

1 平成19年度定期総会

平成19年度の定期総会は、平成19年5月20日(日)午後1時から4時まで、沖縄国際大学9号館202号室で開催された。出席者数79名(委任状52名を含む)で正会員数(143名)の2分の1(72名)を越え、総会は成立した。議長団に泉武、安里洋子の両氏を選出し、次の6つの議案について審議が行なわれた。また、議事録署名人には辺土名朝三、山城真奈美が選任された。

(1)定款の一部改正
(2)平成18年度事業報告
(3)平成18年度収支決算報告
(4)平成19年度事業計画
(5)平成19年度収支予算
(6)理事・監事の選任

議事の経過の概要及び議決の結果は以下のとおりである。

(1)第1号議案

定款の一部改正について 事務所の移転に伴う定款の改正。定款第2条の「沖縄県宜野湾市我如古2丁目1番12桂マンション403号」を「沖縄県宜野湾市我如古2丁目4番15盛マンション301号」に改め、原案どおり承認された。

(2)第2号議案

平成18年度事業報告について理事の比嘉久が報告した。

Ⅰ 事業・活動の実施状況

「6.広報活動」に④FMたまん⑤美ら海水族館広報誌⑥修学旅行生受け入れを追加し原案どおり承認された。

(3)第3号議案

平成18年度収支決算報告について事務局会計担当の宜保清美が報告した。
平成18年度収支決算報告書の支出の部「予算額」の「計」の「合計」の欄、6,923,114を6,913,114に訂正し原案どおり承認された。

(4)第4号議案・第5号議案は、原案どおり承認された。

(5)第6号議案

理事・監事の選任について 定款附則3の定めにより、当法人の設立当初の役員の任期は、第16条第1項の規定にかかわらず、設立の日から平成19年3月31日までと規定されており、理事の退任に伴う新たな理事の選任と役員の改選を行う必要があることを理由に、理事2名・監事1名の新任と理事12名の再任を提案したところ満場一致で原案どおり承認された。

2 理事会

平成19年度第1回理事会が下記のとおり開催された。

日時:2007年5月19日(土)午後7時~9時
場所:NPO法人沖縄伝承話資料センター
理事総数:13名
出席者数:12名(委任5名)
議題:
①定款の一部改正について
②平成18年度事業報告及び収支決算報告について
③平成19年度事業計画及び収支予算(案)について
④理事・監事の改選(案)について
⑤その他

3  運営委員会

平成19年度における運営委員会の開催状況は次のとおりである。

第1回 5月14日
①平成19年度定期総会・提出議案について
②平成19年度定期総会の役割分担について
③活動資金造成事業について
④その他

第2回 5月30日
①平成19年度事業について
②語り手養成講座について
③その他

第3回  10月10日
①パンフレット作成について
②「民話の部屋」の開催について
③民話マップの作成について
④平成19年度「伝承の旅」の実施について
⑤公文書館長に対する要請文書の検討
⑥その他

第4回 12月5日
①小澤先生「ヨーロッパメルヒェン賞」受賞祝賀会の件
②「語りのワークショップ」発表会と役割分担について
③沖縄県読書フェスティバルへの出展と役割分担について
④平成19年度「伝承の旅」(小澤昔ばなし研究所共催)の実施について(1/18から1/20
⑤その他

第5回 2月27日
①「民話の部屋‐語りのシンポジウム」の役割分担
②「語りのワークショップ」について(別紙)
③民話マップ(中部編)について(別紙)
④遠藤庄治論文集について
⑤ホームページについて
⑥その他

Ⅲ 寄附金の受領状況

平成19年度は下記の方々から温かいご寄付を頂いた。
感謝を申し上げ、会の充実発展のために有効に活用した

5月2日 津波古米子 5,000
5月21日 丸山顕徳 12,000
5月22日 安里和子 4,000
12月28日 謝花秀子 5,000
1月 7日 白須 巴 25,000
2月29日 中崎彰子 5,000
3月31日 比嘉 久 28,800

※ 活動の様子を「センター便り」のページで紹介してい。