はじめに

遠藤庄治先生(沖縄国際大学名誉教授)は、1972年4月に開学間もない沖縄国際大学に着任。

1973年8月1日、立命館大学・大谷女子大学・沖縄国際大学の三大学で組織された調査団による与勝諸島の民話調査を始めました。

その調査で大城蒲太さんをはじめとする多くの優れた話者に出会い、調査の緊急性を感じて、その年の10月、沖縄国際大学の学生と共に「口承文芸研究会」を設立。

以後、沖縄各地の民話の会の協力を得ながら、学生たちと精力的に各市町村を回り民話を聴取してきました。

33年間にわたって調査してきた民話や伝説の数は、約7万3千話、テープの数にして約4千4百本という膨大な資料になりました。

遠藤先生は、これらの全ての資料を沖縄県民の共有財産として保存し還元されることを切望していました。

2005年7月、民話調査に関わった者たちが中心となり、特定非営利活動法人とする準備会を発足。

8月14日に設立総会。12月8日、沖縄県知事より設立認証を受けて、2006年1月16日に登記が完了。

遠藤先生を初代理事長に、特定非営利活動法人沖縄伝承話資料センターとして活動をスタートさせましたが、病気療養中の遠藤先生は3月20日に亡くなられました。(享年72歳)

現在、遠藤庄治先生の遺志を継いで、120名余の会員の協力の下、照屋寛信理事長を中心に、沖縄伝承話資料の保存と還元活動に努めています。


特定非営利活動法人 沖縄伝承話資料センター
設 立 趣 旨

 沖縄伝承話は、戦前からすでに民俗学・宗教学・神話学など多様な学問分野における日本基層文化の探求の資料として活用され、高い評価を受けてきた。しかしながら、鉄の暴風と表現された沖縄戦で多数の伝承者が生命を奪われ、戦後も異民族による支配が長く続いた沖縄においては、伝承話の記録保存は極めて困難であった。その結果、1970年代になると、他の地域との調査研究のレベルの格差は拡大し、更に伝承者の高齢化や死亡などによって伝承の衰退が顕著になった。

 このような状況の中で、我々は1973年、消滅しつつある伝承話を記録保存し、共有財産とすることを目指して調査を開始した。東西千キロ、南北4百キロに40余の有人島が点在する沖縄の調査は、地続きの本土とは伝承内容も調査方法も異なっていた。我々は以後30余年の間、およそ延べ2万人の仲間が村から村へ、島から島へと移動しながら調査を実施して、1万3千人のご老人から約7万3千話を聴取し、記録保存してきた。しかもそれらの総ては、音声テープ及び詳細な調査記録を伴うものである。沖縄におけるこの30年は、沖縄方言の世代から共通語の世代への移行期にあった。従って我々は、沖縄各地の方言を基礎として成立していた文化そのものの崩壊過程の立会人となっていたのである。

 我々の調査は、表面的には沖縄の多様な方言圏の言語伝承を記録保存したということになるが、しかしながら調査の分量はおよそ近代日本百年の記録の分量に相当するものであり、その潜在的な価値の可能性は計り知れない豊かさを持っているといえよう。それは単に沖縄の伝承話によって立論された学術的な価値に止まらず、教育、環境、地域振興、児童文学など様々な価値を内包している。学術研究に限ってみても、20世紀における沖縄伝承話の活用は、主に日本文化の根源を探ることに求められたが、21世紀においては、日本という狭い枠内での比較に止まらず、国際的な比較がより可能になることによって、沖縄の伝承話は東西の文化の流れや人類古層の文化を探る鍵ともなり得る学術的価値を持つことが明らかになりつつある。即ち、我々が聴取して得た沖縄伝承話は、保存・保護されなければならない世界に誇るべき文化遺産なのである。

 我々は、この30余年に及ぶ調査の成果としての音声テープや詳細な調査記録、ビデオ、CDなどの膨大な資料、財産を、私物化することなく社会の共有財産として公明適切に管理・継承し、その積極的な利活用を図ることを意図して、この特定非営利法人沖縄伝承話資料センターを設立するものである。

2005(平成17)年8月14日設立
2006(平成18)年1月16日認可

内閣府NPO法人ホームページ:
https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/detail/047017207

事務局 所在地

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主な活動

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