福島・飯舘村、郡山「民話茶屋」交流の旅

・・・報告 安里 洋子

去年の夏から、遠藤庄治先生の強い勧めのあった飯舘村訪問。

1月21日から24日までの3泊4日の日程で福島の方々と交流してきました。

参加者は、沖国大口承文芸研究会サークル時代からの最古参 照屋寛信を筆頭に 辺土名朝三、渡慶次勲、安里洋子、新城京美、比嘉久、祷晴一郎、平良美和、山内恵美子、栃木から『本部町の民話』の発刊に貢献した長崎洋子、神奈川から大熊亨、弘子夫妻、3日目に東京から宮崎保子(旧姓山城)が加わって13名。

大雪で飛行機が飛ばないのではと心配されたが、わたしたちは福島から歓迎されていました。

雨による雪解けで仙台空港に無事着陸しました。

福島での受け入れに関しては、飯舘民話の会の菅野哲さんに大変お世話になりました。

計画の時点から何度も日程調整をし、飯舘村での交流の準備、宿の手配、わたしたちの移動に3日間マイクロバスを運転していただき、付きっ切りでしたのでさぞお疲れになったと思います。

ほんとに感謝の気持ちでいっぱいです。

福島訪問にあたり、わたしたちはおみやげを準備しました。

福島のみなさんに喜んでいただけるよう、名護の泡盛「國華」・生のサトウキビ・新物の黒糖・事務局の宜保清美や平良美和のお母さん手作りのサーターアンダギー・照屋寛信特製のコーレーグースーと、沖縄を届けられるよう考えました。

初日は移動に費やし、2日目・飯舘村公民館にて地元の子どもたちを中心に交流会をもちました。交流会最大のイベントは沖縄の伝承遊びのおもちゃ作りでした。

照屋寛信が自ら採集したマーニ(和名 クロツグ・ヤシ科の植物)やソテツの実を用いて風車や動物・笛などを作るのです。

初めは訝しげだった子どもたちも、わたしたちと作っていくうちにそれぞれ関心のある対象ができて熱中するようになりました。

得意なものをお互いに教えあうようになる場面もあり、子どもはもちろんのことおとなも夢中になって楽しむことができました。

お昼には、地元のみなさんが餅つきの準備をしてあり、わたしたちも名人の指導を受けて挑みましたが、へっぴり腰を笑われてしまいました。

もちろん、ついた餅はご馳走になりました。小豆餡を絡めた甘い餅に、野菜たっぷりの雑煮、白菜本来の甘みに驚かされた浅漬け。

雪深い、厳しい自然のなかで受け継がれる暮らしの豊かさを感じました。

公民館での交流会の後、すばらしい昔話の語り手であった、(故)菅野キクさん宅を新城、平良、山内の3人が弔問し、線香を上げることができました。

わたしたちが宿泊している村営宿舎「きこり」での夜の交流会には、村長さんもお見えになり、昔話の語り会・歌や琉球舞踊の披露と遅くまでにぎわい、全員で指笛だけのカチャーシーを踊りました。

3日目は、雪に覆われて白く静寂な飯舘村を後にして時折粉雪が吹き上がる中、菅野さんが運転するマイクロバスにて、福島市内のホテル「福島グリーンパレス」へ移動。

そこで、すでに到着していた宮崎保子が合流し、わたしにとってはと20数年振りの再開となりました。

さらに静岡大学の山本先生も加わり、ホテルの1室で地元テレビ局による収録中の、遠藤先生とお話おばさんこと横山幸子さんとの対談に立ち会いました。

重い病の療養中にもかかわらず、押してカメラの前に立つ先生の姿に、改めて昔話研究への熱意と休むことを潔しとしない先生の意志を感じました。

収録後、遠藤先生を囲んでの昼食会となりました。先生はわたしたちと同じ料理を召し上がり、笑顔で話を交わされました。

今となってはそれがわたしたちへの先生からのプレゼントになりました。

そして、わたしたちの福島訪問を先生も喜んで下さったものと信じています。

食事の後、先生はすぐに病院に戻られ、わたしたちは郡山駅構内にあり待合所にもなっている「民話茶屋」へ向かいました。

「民話茶屋」はNPO法人の活動として運営されており、そこでは会員による昔話の語りが実演され、駅を利用する人々に一時の安らぎを与えていました。

わたしたちは会員の方々や待合所を利用する人々に沖縄のおみやげを勧め、「マーニの手作りおもちゃ」を体験してもらいました。

子どものように目を輝かせて取り組む姿に、私たちも嬉しくなりました。

また、民話茶屋でも夜の交流会でもたくさんの歓待をいただいて本当にありがとうございました。

福島訪問を終えて思ったことは、わたしたちの「沖縄伝承話資料センター」をつぶしてはいけない、社会への還元がまだまだ進んでいないということです。

しかしながら、センターの活動の成果は難儀な割に目に見えてあがりません。

みなさん、センターから呼びかけがある時は、会員の皆様の積極的な協力をよろしくお願い致します。

最後に、微力ではありますが社会に貢献できる機会を与えて下さった遠藤先生に感謝し、ご冥福をお祈りします。……合掌

安里洋子